notes
使おう「マテリアル・オネスティ」
先日、千駄ヶ谷の某事務所にて、 @kotarok さんに「マテリアル・オネスティ」という言葉を教えてもらった。実は恥ずかしながら知らなかった。個人的にずっと「媒体特性」と口酸っぱく言いながらちょっと違和感を感じていたのがこれだった。
プロダクトデザインの文脈における言葉
これは意外と古く、ジョン・ラスキンにはじまるらしい。つまりはウィリアム・モリスやアーツ・アンド・クラフツに端を発している思想で、素材本来の姿や特性を活かしたものこそが良いものである、といったデザイン史上の格言的なもの。
「less is more」と同じくらい重要なのでは
ちょっとバウハウスの考え方を借りてみる。家具やカトラリーの類と同列にウェブやアプリなどのデジタルメディアもプロダクトであり、象徴としての家である建築を、環境、つまりストーリーやUX、CXなどと拡大解釈してみると、広い意味でのメディア/媒体 ── 情報の依り代としてのプロダクト ── には、マテリアルドリブンというか、まさに媒体特性について最適化されていることがより重要になってくると思う。つまり、ものごとが多様化する現代、ことデザイン環境においては、コンテキストや情報量を整理するだけでなく、複雑化する様々なタッチポイント上で情報をどれだけ素直なかたちで載せていくか、スムーズに流していくか、ということが大切になるのでは、ということ。
さまざまなことが無理なく説明できる
いろいろな人が難しい概念やTIPSを語るウェブ制作業界。それも大事だけど、根源的な語りも大切だと思う。デザインには思想が必要なのです(←ポエ散らかす)。
僕が気になったのは、こと日本においては、どうやらウェブのフラットデザインの勃興とスキューモーフィックデザインとの違いを説明するために参照されているような感じをうけるけれども、これは本来そういうレベルの話ではなく、ウェブデザインというよりは、もっとひろく、現代のデザイン全般においてより大事になってきている(昔から変わらないのかもしれないけど)のではないかな、というところ。
いまやっている施策がマテリアルにオネスティなのか? という問いは、制作における上流下流のダイナミックレンジを軽やかに行き来するための指針として有効だし、すごく具体的な技術レベルの課題にも、また抽象度の高い設計レベルの課題にもそれぞれ当てはめることができる普遍的なものだと思った。
べんりなので使おう
こういうカタカナ語って揶揄されることも多いのだけど、それでしか説明できないこともある。使わなくて済むならそのほうがいいけど、すくなくとも同じ立場の間柄であれば、「ああ、いい、うう、ええ、、、、うん。」を「あ、うん。」にするようなことはできる。つまり物事がスムーズになるのは制作という行為においては良いことしかないので、TPOを考えながら、ビシバシ使っていきたい。みなさんも使いましょう!
> Material Honesty on the Web · An A List Apart Article
> マテリアル・オネスティー – A List Apart 日本語サイト
> CONVERSION — マテリアル・オネスティ
> アーツ・アンド・クラフツ運動 – Wikipedia
> ミニマルデザインのススメ – 基本知識と7つのヒント | freshtrax | btrax スタッフブログ
> ディーター・ラムス – Wikipedia