notes

InDesign BootCamp for web designer

とある案件で、紙媒体制作の経験が少なく、冊子ものの経験のないデザイナーが書籍を手掛けることになったため、導入レクチャーするためのメモ。ググれるようになるのが目標


ざっくり概要

InDesign = コンテンツを編集・定着するアプリ

Illustrator → ドローイング・作図
Photoshop → 画像加工
Sketch → CSSベースのデザイン
InDesign → レイアウトソフト

よいところ

  • 扱うコンテンツが多くても軽い
    全部外部化して include する思想
  • コンテンツと構造を分離して設計できる
  • グラフィカルに最終定着もできる
  • フォーマット定義 → 量産が容易
  • モジュール化もしやすい
  • 複数ページの制作をするにはこれ以上ない強力な効率化機能

わるいところ

  • お絵描きソフトではないので、はじめとっつきにくい
  • 習熟に時間がかかる
  • できることが多いぶん、データ汎用性が低くなる
  • 慣れると好きになってしまうため、なんでもコレでやりがちになる

個人的に好きなところ

はじめにきちんと設計しておけば、何も考えずとも統一されたコンテンツが作れるところ。ガワをつくる考え方も、作りながら定着する考え方もパラレルで進められる自由度がある。かつ、正確な数値制御ができ、効率化のための機能が強力で無駄な作業をせずにすむ。常に作業よりもコンテンツそのものを見ていられる


インデザインの考え方

レイアウトソフト。外部化したコンテンツや書式を指定領域に当てはめて、配置する。

組版すること、割り付け

領域を区切り、そこに何をどう収めるかを指定する。

活字の概念(ベタ組と版面)

活字の全角ベタのグリッド・原稿用紙の世界が前提。それを紙にどう収めるか、という版面設計(コンテンツ領域のwrapper)がまずはじめにある。

指定紙の概念とDTPワークフロー

実寸の紙に、印刷職人に指示する指定を書き込んだ「指定紙」の考え方がベース。お絵描きをするのではなく、指定紙の代わりとなるデータを作り込む、という考え方。.indd データが原稿兼指定紙となる(近年では、ハンコそのものにも)。
デザイナーの次に印刷エンジニアがいて、印刷サーバ、印刷機(レンダラ/ブラウザ)があり、出力・パッケージされたものが印刷流通(工場→取次→小売→ユーザー)に乗っかるシステムがある。
※パブリッシュすればユーザーにほぼ自動的に届くと言っていい、枯れた仕組みがある。


独特な機能

マージンとレイアウトグリッド

fixed メディアのための機能。限られた紙面にコンテンツをどう配置するかを設定する。コンテンツ領域=版面(はんづら)をつくる機能。
※新規ファイルを作成した時に焦らない! 全部あとから設定できるので、とりあえず Enter。

ボックスの属性

テキスト、画像、グラフィックなどの属性がある。基本的に、すべての要素はボックスの中におさまる。

スタイルの考え方

グリッドフォーマット、段落スタイル、文字スタイル、オブジェクトスタイル。CSSのように構造・コンテンツとスタイルは分離して管理される。

リンク配置とリンクパレット

コンテンツはドキュメントに埋め込まず外部に持つのが基本思想。指定領域に配置し、リンクパレットで管理する。外部ファイルの状態変化はInDesignが検知してくれる。

検索置換

テキストだけでなく、オブジェクトなどもさまざまなトリガーで検索し、置き換えることができる。個別でも一括でも可能。複数ドキュメントを横断しての実行や、クエリ化、正規表現で指定して半自動で処理し続けることも可能。

表ツール

専用ツールがあり、エクセルのように表ボックスとして扱うことができる。セルの増減や数値管理、書式設定が可能。書式を定義するセルスタイルというものもある。

パッケージとプリフライト

印刷データにするための機能。必要なデータを一箇所に集約し、入稿できる状態にするもの。プリフライトは、仮想のRIP(印刷サーバ)に通す機能で、データに印刷工程上考えられる不備があれば指摘してくれる。ライブでプリフライトし続けることもできるがアプリの動作が重くなる。

おまけ: 文字組みアキ量設定

流し込まれた文字の細かな処理を定義する設定。かなり複雑で日本語組版の知識も必要なので、出版社の伝統的ルールを移植した設定や既存媒体の設定を流用し、必要なら部分カスタマイズすることから始めるのがよい。これだけで辞書のような本が一冊できるくらい高度な機能。

おまけ: 高度な組版

  • 縦中横
  • 幅の違う数字
  • ルビ
  • 段落前後の罫線
  • 打ち消し線と下線設定
  • 特殊文字の挿入(ここまでインデントなど)
  • 異体字
  • ぶら下がり
  • アフレの表示とテキスト表示

ハンズオンで基本機能をおさえる

ドキュメント設定

組み方向と綴じ

  • 縦組み/横組み
  • 右開き/左開き

判型

  • 定型サイズ
  • 変型判

マージン・段組み(洋風)

欧文組版の考え方での指定方法。外側のマージンを決め、中にカラムを切る。難しく考えずにさくっとつくるペラものやビジネス書類なども。
※プロポーショナル組みだから

レイアウトグリッド(和風)

日本語組版の考え方での指定。コンテンツ部分=版面のグリッドを求め、それをどう紙面に入れるかを指定する。
※全角モノスペース組みだから

書式設計

スタイルの入れ子構造とオーバーライド、再定義を理解する。スタイルは別ドキュメントからインポートできる。もちろん再定義すれば一括で修正が効く。

本文

フレームグリッドに、その設定と段落スタイル、文字スタイルの包含

見出しやリード

通常テキストボックスに、段落スタイルと文字スタイル

キャプションや小本文

通常テキストボックスとフレームグリッドの使い分けポイント

ハシラとノンブル

  • ページ番号
  • セクションタイトルなど

ページ

マスターページ

通常はノンブルくらい。共通パーツを置く。複数用意することも。

ページ

  • ページパレットとオプション
  • ページ移動ショートカット

テキストボックス

  • 通常テキストボックス
  • フレームグリッド(フレームグリッド設定がされているボックス)

画像ボックス

中にimg要素を収めたボックス。トリミングや位置指定の制御なども「ボックスに対して」行うことができる。

グラフィックボックス

それ以外の要素ボックス。外部化されていないグラフィック要素・図形など。

スウォッチ

通常のカラーパレットもあるが、基本的にすべての色はスウォッチで管理する。すべてグローバル。置換可能。特色指定なども。グラデーションスウォッチ、濃淡スウォッチなど種類がある。

合成フォント

かなり精緻な合成フォントが設定可能。別ドキュメントからインポート可能

フォント検索

ドキュメントで使われているフォントの検索や置換、フォント情報の確認、フォントがアクティベート状態かどうかの確認ができる。

間隔ツール

ページツール

ハイパーリンク

ワークスペース

ドキュメントレイアウト表示

環境設定など

  • 単位と増減値
    文字まわりは「級数」を強くお勧めする。
    すべてをピクセルにすることも。
  • ドキュメントグリッド
    大ぶりにするとスナップしやすい
  • カラーモードとドキュメントプロファイル

おまけ:入稿作業(やらない)

おまけ:構造、Altやリンク設定とコード書き出し(やらない)


基本操作の確認

  • オプションバー
    基準点
    数値は四則演算を連続して入力可能
    内容の拡大率
    角度
    内容とフレームのフィット ※ショートカットをあてるとよい
    変形を消去
  • w でグリッドなどのエクストラ表示と印刷プレビューの切り替え
  • z で拡大
  • ⌘ + D で配置
  • ⌘ + Click で背後のオブジェクトを順番に選択
  • Space で手のひらツール
  • Option + バウンディングボックス操作 で中心点から拡大
  • ⌘ + shift + Click でマスターページアイテムのオーバーライド
  • 多角形ツール > 頂点の数 で三角形
  • 重ね順(Psほどの整理は通常必要ない)
  • 元の位置にペースト
  • 整列
    間隔を指定
    揃える基準を指定
  • 効果 > ダブルクリックで効果メニュー
  • 角オプション
  • テキストの回り込み
  • テキストフレーム設定 > テキストの配置 > 中央
    ※ショートカットあてるとよい
  • 大文字と小文字の変更
  • オブジェクト > 変形を再実行 > 変形シーケンスを再実行
  • 特殊文字の挿入
  • 制御文字を表示
  • 100%表示
  • 表示画質の設定
  • 未使用をすべて選択
  • PDF書き出しプリセット
  • プリフライト
  • 重くなったら別名保存
  • 前/次スプレッド にショートカットあてるとよい

注意するべきこと

基本的にアウトライン化(画像化)はしない

パブリッシングが前提なので、img化せず、文字はテキストのままが基本。アウトライン化もできるが、不具合もある。
– PDF入稿(PDF/X-1a)
– 文字入りボックスのアウトラインバグ

絵作りなどは道具を使い分ける

写真加工はPhotoshop。グラフや作図、アイコン作成はIllustratorなど。それぞれのネイティブデータや、tiff(画像側の設定次第で、インデザイン内で色を指定できる)など。

オブジェクト管理と命名規則

個々のオブジェクト管理はルーズでよいが、スタイルとスウォッチはきれいに。スタイル名は媒体名を接頭辞に、末尾にリビジョンを付けるとコンフリクトしない。

バージョンに要注意

アプリのバージョンによって文字組エンジンに差があったり、印刷工場での正確なレンダリングに差があることがある。印刷工場や制作パートナー間で共通の環境が整えられるか、フォントは同じものがあるか、などは事前にしっかり確認しないと大変なことに

そもそも印刷メディアで抑えるべきポイントには気をつける

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Webデザイナー(私)によるDTPデザイン注意書き:Webと紙の違い … ウェブ本業の方から見たDTP

WEBデザイナーが知っておきたい!WEBとDTPの“デザインの違い” | mororeco


参考になるサイト

DTP Transit … Tipsの宝庫

InDesignの勉強部屋 … オンラインヘルプ的な

InDesignのTips「検索置換であれやこれや」 – from Editors | サストコ … 宣伝

なんでやねんDTP … 日本語組版の深淵を覗いてみたい方に

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Web屋のーりー » ウェブデザイナーなら、プレゼン資料をInDesignで作ってみてはいかが?

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